賃貸用不動産の立ち退き請求 不動産の立ち退き問題に悩むオーナー様へ

コラム3 立退料の算定方法

料の算定方法に決まった公式は存在しません。
その理由は以下の通りです。

  • 立退き請求における貸主・借主の事情が千差万別であるため
  • 裁判所の裁量で自由に立退料を設定できるため

このため立退料は過去の判例から類推することしかできないのですが、立退料算定において考慮される事情というものは、概ね決まっています。
下記の文章もしくは、コラム6~8の立退き請求に関する事例をご参照ください。

借主に債務不履行がある場合

債務不履行とは、簡単に言えば、課されていた条件を守っていないということです。家賃の不払い(滞納)や、契約時に申告があったのとは違う用途で対象物件を使用している場合などがこれに当たり、この場合、貸主は借主に対して、「債務不履行解除」を理由に明渡を求めるので、立退料は不要です。
(この他の「債務不履行」に関しては個別に当弁護士までご確認ください。)

もっとも、注意が必要なのは、仮に1度だけ家賃の不払いがあってその後はきちんと家賃を支払っているというケースでは、「債務不履行解除」が認められないことが多いという点です。あくまでも、何度警告しても一向に家賃を支払う気配がない、すでに不払いが数か月続いている、など、「貸主と借主間の信頼関係を壊す程度」の債務不履行であってはじめて、「債務不履行解除」が認められ、「正当事由」が不要、つまり立退料が不要となるのです。

債務不履行はないが、貸主の事情で賃貸借契約の解約、更新拒絶を申し入れる場合

借主(借地人、借家人など)に債務不履行がない場合、以下の事情を加味した上で立退料が算定されます。

  • ①貸主・借主双方の事情
  • ②借主の転居費用の補償
  • ③借主の事実上失われる利益の補償
  • ④借主の利用権の補償
  • ⑤当該物件の価値

③「借主の事実上失われる利益の補償」は、いわゆる居住権・営業権の補償であり、借主の事実上失われる利益の多寡によってその補償額が変わります。逆に言えば、失われる利益が少なければ少ないほど、立退料も安くなります。
⑤「当該物件の価値」は、どうやって判断されるのでしょうか?一般的なものは次の2つです。
●不動産鑑定による価値の判断
●土地価格による判断

「不動産鑑定による価値の判断」は、不動産の鑑定評価に関する法律における、不動産鑑定評価基準が用いられます。簡単に言えば、いくつかの定型の方式を用いて不動産を鑑定するルールに基づいて、当該物件の価格を算出してもらうのです。
「土地価格による判断」というのは、土地にはいくつかの価格がついていることが一般的で、価格を決定した組織によりその名称や価格も異なるのです。

―代表的な土地価格―

  • ・実勢価格:不動産鑑定士による時価
  • ・公示価格:国土庁の定めた調査地点を調査した結果の価格
  • ・基準地価:都道府県知事が調査した価格
  • ・路線価格:国税庁が主要道路を基に設定した価格
  • ・固定資産税評価額:自治省が管轄する地方自治体が設定した価格

過去において、借主保護を目的とした「借地法」「借家法」のもと、高額な立退料を請求される例が多々ありました。しかし、平成になって成立した「借地借家法」では、借主保護の考え方は継承されつつ、改正を重ねることにより、これまで大きく制限されてきた貸主の権利を、少しずつ認めるようになってきています。