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従業員の「うつ」 問題、対策はできていますか?

経営者や人事労務担当者の皆様は、「従業員のメンタルヘルス」という言葉を聞いて、どのような印象をお持ちになるでしょうか。もしかすると、「うちの従業員はみんな元気そうだし、関係のない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、厚生労働省の統計によれば、仕事や職業生活に強い不安・悩み・ストレスを感じている人は、「約半数」とのことです(同省「平成29年過労死等防止対策白書」)。
ですから、メンタルヘルスの問題は、いつ、どの会社で起きてもおかしくありません。もしかすると、皆様の会社でも、すでに、メンタルヘルスの問題が起きているかもしれません。

まず、会社の従業員が、仕事の悩みを原因にうつになって、会社を欠勤し続けている場合、「やる気のないやつはクビだ」ときっぱり解雇してしまえばよいでしょうか。答えは「ノー」です。

また、精神的不調を抱えた従業員が1人もいなければ、何の対策も採らなくてよいのでしょうか。これも、答えは「ノー」です。
「えっなぜ?」と思われた方は、ぜひ、この記事の続きをお読みください。

1従業員から「うつでしばらく休みます」と言われたら

さて、ある日、従業員から「うつでしばらく休みます」と言われたら、会社はどのように対応すべきでしょうか。

もちろん、「休むな」「やる気がないのか」「辞めてしまえ」などの発言は禁句です。とはいえ、「体調がよくなるまでずっと休んでいいですよ」と伝えて終わりというのも、会社として適切な対応とはいえません。それは、なぜでしょうか。

メンタルヘルスの問題は取扱いが難しい

例えば、「転倒してケガをしてしまったのでしばらく休みます」ということであれば、ケガの程度に応じて、おおむねどれくらいの休養が必要で、いつ頃には復帰できそうという目処を立てることは難しくありません。

では、精神的不調を理由とする欠勤の場合はどうでしょうか。そもそも、精神的不調というのは、外見からはよく分かりません。「どれくらいひどくて」「療養に少なくともどれくらいかかりそうか」というのは、専門家でなければ判断するのが難しいです。

ここが、メンタルヘルスの問題において、取扱いが難しいところです。

まずは医師の診断を受けさせるところから

診断書 + 医師へのヒアリング

従業員から「うつでしばらく休みます」と言われたら、まずは、主治医や会社の産業医の診察を受けるように指導しましょう。もっとも、ここまでの対応は、多くの会社が実践されていると思います。

問題はここからです。医師の診断書を提出させて終わりになっていませんか。実は、診断書を提出させるというのは、もちろん必要な対応ではありますが、十分な対応ではありません。例えば、診断書に「うつ状態」「1ヶ月の自宅療養を要する」と書かれていても、「1ヶ月休んだら復職できる」と解釈してはいけません。そもそも、「うつ状態」という病名は、初診時などで経過観察ができていないため、うつ病かどうかを判断しがたい場合に付けられることの多いものです。うつ病かどうかを正確に判断しがたい状況において、まして、「どれくらいの期間の療養で治るか」を判断することは、とても難しいことです。

では、どうすればよいのでしょうか。それは、従業員の承諾を得たうえで、人事労務担当者が、医師と直接面談して、診断に至った理由や今後の対応について聴き取りを行うことです。そうすれば、診断書からでは分からない詳細な事情が見えてきます。

  1. 1. 医師の診断を受けるよう指導
  2. 2. 診断書の提出
  3. 3. 診断書だけではわからない事情を医師と面談して聞き取り(従業員の承諾が必要)

精神的不調で働けない従業員には

休職命令+復職への支援を。怠ると法的リスクも!

さて、医師の診断により、「精神的不調を理由に自宅療養が必要である」ことが明らかになった場合、会社はどうすればよいでしょうか。答えは、「休職命令」を出したうえで、復職に向けて「支援」を行ってください。
そんな手間とコストのかかることはできない・・・確かに、もっともなご意見です。しかし、こういった手続を怠ると、法的リスクを負ってしまうかもしれません。

精神的不調を抱えてどうしても復職できない従業員を、最終的に退職させること自体は、違法ではありません。もっとも、退職させる前提としては、一定期間休職させて療養させることでできる限り復職に向かわせる努力を会社が惜しまないことが重要です。このような努力を怠ると、会社が法的リスクを負う結果となってしまいます。

退職させられないのであれば、自主的に辞めてもらえば・・・そう簡単にはいきません。精神的不調を抱えた従業員は、会社側から見れば、「会社に迷惑をかける」存在かもしれません。しかし、従業員本人は、「こんなに悩んでいるのだから、会社も少しは気遣ってくれたらよいのに」と考えるでしょう。会社側と従業員側には、必ず「気持ちの大きなズレ」が生じます。
このような気持ちのズレが、会社から従業員に対する「執拗な退職勧奨」につながってしまいます。限度を超えた退職勧奨に対しては、法的責任を問われることもあります。

「休職命令や復職支援をきちんと行ったが、どうしても復職できないことからやむなく退職させました」ということであれば、会社側が法的責任を負うことにはなりません。では、休職命令や復職支援とは、いったいどのように進めればよいのでしょうか。

休職命令を出すときに気をつけること

従業員への丁寧な説明と理解を。

休職命令を出すときにやってはいけないのは、「休職命令を出すから明日から来なくていい」と言って終わってしまうことです。これでは、従業員側を不安にさせ、場合によっては、精神的不調を悪化させることにもつながりかねません。休職命令を出すときには、十分な説明によって、できる限り従業員の不安を取り除く努力をすべきです。

では、会社は、休職命令の際に、どのような説明をすべきでしょうか。ここで、いくつかの質疑応答例をご紹介します。

一方的に休職させるなんて、おかしくないですか。
「就業規則第何条には、・・・の場合には休職命令を出すことができると書いています。」

「今回提出してもらった診断書の内容、主治医(産業医)から聴取した医学的な意見、弁護士の法的見解を考慮して、人事労務担当者を含む複数の担当者で話し合った結果、休職命令が必要との結論に足りました。」

「休職は、十分に自宅療養をして、早期に体調を万全にして元のように仕事ができるようになってもらうために必要なことです。」
要するに、私は会社にいらないということですか。
「そうではありません。あなたが会社に必要な人材であるからこそ、休職させます。」

「自宅療養して、体調をきちんと戻してもらえれば、復帰してもらう予定です。」

「あなたの体調が早くよくなるように、休職期間中もサポートする予定です。」
いつ会社に戻れるのですか。
「それは、現段階では判断できません。なぜなら、回復までに必要な時間は、1人1人違うからです。」

「今後、休職期間に十分に療養してもらって、仕事に復帰できる程度に回復したら、復職してもらいます。」

「休職期間中は、定期的に医師の診断を受けてもらったり、人事労務担当者の面談を受けてもらったりして、経過観察をします。」
そのままクビになるのではないですか。
「就業規則では、何ヶ月間に復職できなければ、失職することになっています。」

「ですから、十分に自宅療養をして、早期復職を目指してください。」

「会社としても、期間内に復職できるように、サポートを行いますので。」
休職期間中は給与が出ないのですよね。
「たしかに、休職期間中の給与は出ないことになっています。」

「その代わり、健康保険に加入されているので、傷病手当金を受けられるのではないかと思います。」

「傷病手当金を受けられたら、1年6か月は生活を保障されます。」

「傷病手当金については、後ほど詳しく説明しますから、安心してください。」
やり残している仕事があるので、休めません。
「仕事については、他のスタッフに引き継いだり、別の部署にヘルプを要請したりする対応を考えています。」

「あなたの直近の上司とも連携して、引継ぎの準備を進めていますから、安心してください。」

「あなたは、会社の仕事ではなく、ご自身の体調を優先して考えてください。」

休職命令に対して、従業員側から、「なぜ会社に言われて休まないといけないのか」と反発されることは、しばしばあります。それに対して、会社側は、「会社の言うことが聞けないのか」などと反論するのではなく、丁寧に理由を説明して理解を促すことが、望ましい対応です。

休職期間中に気をつけること

従業員の早期復職は会社の利益にも。復職に向けたサポートを継続的に。

大切なのは、休職させることではなく、休職させて「療養」させることです。ですから、会社として、本人がきちんと療養することができるようにサポートしなければなりません。

会社がなぜそこまで面倒を見なければならないのか・・・と疑問に思われるかもしれません。しかし、休職期間中のサポートは、実は、会社にとっても大きなメリットになります。

例えば、休職命令を出したが、本人が(1)きちんと病院に通っているかも、(2)家で静養しているのかどうかも、(3)現在の体調も全く分からないというのでは、本人の復職可能性や復職のタイミングを全く把握することができません。これでは、本人が休職している間の人事配置をどうするか、的確な判断ができなくなってしまいます。

また、会社からサポートを受けている場合と、何のサポートも受けていない場合では、本人のモチベーションにも大きな影響が出ます。会社がきちんとサポートをすれば、本人のモチベーションを高め、ひいては、早期復職につなげることができます。

このように、休職期間中のサポートは、会社の利益を考えても大切なことなのです。

具体的なサポートの例

復職させる前に行うべきこと

早すぎても遅すぎてもNG!「復職判断」は医師によるベストなタイミングと弁護士による法的観点からの見極めが重要。

本人の体調が回復してきた場合、会社がしなければならないのが「復職判定」です。つまり、「本人が復職可能な状況にあるのかどうかを判定する」ということです。

復職判定は、言葉にすると簡単そうですが、実は、とても難しい判断を迫られます。
以下の図を見ていただくと、イメージしやすいかと思います。

復職のタイミングは、早すぎても遅すぎてもいけません。もし復職が早すぎれば、再び本人の体調を悪化させてしまうかもしれません。一方、復職が遅すぎれば、本人の不安を募らせてトラブルになってしまうかもしれません。
実際、休職命令を出した会社がなかなか復職を認めないのに対し、従業員が「休職命令の継続は違法である」として争うことがあります。

復職判定は、専門家に相談しながら、慎重に進める必要があります。

さて、復職判定において相談すべき専門家とは、だれでしょうか。1人は、もちろん「医師」です。もう1人は、「弁護士」です。ここで、「なぜ弁護士に?」と疑問に思われる方も多いかと思います。

復職判定を的確に行うために、弁護士の法的アドバイスが重要な理由
復職判定は、「適切」の範囲に含まれる時期を見極める「法的判断」

復職判定は、判例や裁判例なども参考にしながら、適切なタイミングを検討する必要があります。また、復職に当たって以前とは異なる部署に配置してよいか、労働条件を変更してよいか、といった法律問題もかかわってきます。ですから、復職判定を的確に行うためには、弁護士の法的アドバイスも重要なのです。

復職判定の結果、復職相当と判断した場合

「復職プラン」をあらかじめ策定し、復職後には、復職プランに従って、
完全な復帰に向けた「フォローアップ」を行うべきです。

  1. ① はじめはどのような仕事に復帰させるか
  2. ② どのようなペースで元の仕事に戻していくか
  3. ③ 復帰後に体調が悪化したときはどう対応するか
  4. ④ 復帰後の定期面談はどのように行うか

2当事務所の休職復職支援サポート

3メンタルヘルスケアのススメ

ここまで、メンタルヘルスの問題を抱えた従業員に対してどのように対応すべきかをご説明しました。
休職命令や復職支援がいかに労力と時間のかかることか、ご理解いただいたかと思います。
できれば、「このような大変な思いはしたくない」というのが、経営者や人事労務担当者のだれもが思うことであると思います。
そこで、当事務所がおすすめするもう1つのプランが、メンタルヘルスケア総合サポートプランです。

メンタルヘルスケアとは、従業員1人1人がメンタルヘルスの問題を抱えないための対策のことです。当事務所では、「メンタルヘルスケアに本格的に取り組みたい」という企業様に向けて、PDCAサイクルの考え方を取り入れたサポートプランをご提供しています。下記の4つのサポートを継続的にご提供することで、メンタルヘルスケアのPDCAを回すお手伝いをいたします。

4当事務所のサポートサービスの特徴

「今まさに必要な対策」から「今後必要になる対策」までを総合的にフォロー

当事務所のサポートサービスは、休職復職支援という「今まさに必要な対策」から、メンタルヘルスケアという「今後必要になる対策」まで、1つのサービスパックにしたところに特徴があります。

「なぜサービスパックにしたか?」それは、メンタルヘルスの問題を実際に経験した会社にメンタルヘルスケアに関心を持っていただき、再発防止に努めていただきたいという思いがあるからです。休職復職支援からメンタルヘルスケアにつないでいくお手伝いをするためには、このようなサービスパックの形がもっともふさわしいと考えました。

メンタルヘルスの問題でお困りの際は、ぜひ、当事務所までお問い合わせください。

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