法人向け法律サービス解雇・雇い止め

はじめに

従業員が怪我や病気だと言ってなかなか出勤してこない、採用時にこちらが予定していた能力を明らかに有していない、勤務成績が悪すぎる、そもそも当社の業績もここのところ著しく悪く雇用を継続できそうにない…。採用時には双方期待にあふれて雇用契約を結んだものの、いざ勤務を始めてみると使用者にとって従業員を解雇したいと考える場面は少なくありません。

でもちょっと待ってください。本当にその従業員は解雇して大丈夫ですか? 以下では解雇と雇い止めについてご説明します(※そもそも解雇といっても,その種類は1つではなく,普通解雇,整理解雇,懲戒解雇などがあります。以下では主に普通解雇と整理解雇についてご説明します。懲戒解雇については別項目でご説明します)。

解雇について

1 契約法上の原則

契約法上の原則は民法に定められていますが、民法においては,期限の定めのない契約については、2週間の予告期間をおけばいつでも解約できるとされています。これによれば、雇用期間を定めないいわゆる無期雇用労働者についても、自由に解雇できそうです。

2 法律及び判例法理による修正

ところが、一般的に雇用契約は労働者の生活の基盤となっており、解雇は労働者にとって非常に過酷な結果となりかねません。このため、法律及び判例法理により、解雇の自由は手続及び理由の両面で制限されています。

この制限は複雑かつ基準が必ずしも明瞭ではなく、なかなか解雇をしてよいかの判断が容易ではありませんが、以下に少しだけ制限の内容を見ていきましょう。

解雇手続の規制としては、たとえば、労働基準法によって、使用者が一方的に行う解雇については、予告期間が30日に延長されています。また、他にも業務上の負傷や疾病による療養のための休業期間及びその後30日間ならびに産前産後休業の期間及びその後の30日間の解雇制限などがあります。

解雇理由の規制としては、差別的な解雇の禁止や、法律上の権利行使を理由とした解雇の禁止があります。また就業規則には多くの場合、解雇事由を定めた規定が置かれており、裁判になると解雇の理由はこの就業規則であげられた事由に限定されると判断されるケースが多いといえます。

さらに、裁判所は、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」と判示し、判例法理としての解雇権濫用法理を確立しました。この法理は、平成15年には労働基準法に規定され、さらに平成19年に労働契約法の制定に伴って、同法に規定が移されました。

客観的に合理的な理由としては、労働者の労務提供の不能、職場規律の違反、経営上の必要性に基づく場合(整理解雇)等があります。

そして、このように客観的に合理的な理由が認められるとしても、社会通念上相当として是認することができない場合には解雇権濫用として解雇は無効となるわけですが、裁判所は一般的には、解雇の事由が重大な程度に達しており、他に解雇回避の手段がなく、労働者の側に宥恕すべき事情がほとんどない場合にのみ解雇相当性を認めていると言われています。

無期雇用の従業員の解雇はこのような要件を満たしている必要があり、なかなか大変です。

雇止めについて

上記のように無期雇用について解雇が制限されているのであれば、無期雇用ではなく、期限を区切って有期雇用すればよいようにも思えます。期間の定めのある雇用契約に関する民法上の原則によれば、期間が満了すれば当然に契約が終了することになるからです。

 

しかし、このような結論は、例えば長期間にわたって有期契約が反復され実質的に常用化している場合には、無期雇用の場合と比して明らかにバランスを欠いています。

このため、判例上、反復更新されて期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった場合には、更新拒否には客観的で合理的な理由が必要とされ、かかる理由がなければ自動的に契約の更新が行われることとされました。さらに、裁判所は、期間の定めのない契約と実質的に同視できない場合でも、雇用継続に対する労働者の期待利益に合理性がある場合には解雇権濫用法理を類推するものとしました。

このような裁判所の法理を受け、現在では、労働契約法にも係る内容が取り込まれています。

解雇・雇い止めでお困りの際は当事務所にご相談ください

このように、従業員の解雇・雇止めには法律上複雑な規制がされており、現実的な問題として解雇したり雇止めをしたりというのは容易ではありません。全く不適格な従業員が職場にとどまるのは労使双方にとって必ずしも幸福なことではありませんが、このような従業員に職場を去ってもらうためには、事前に方針を十分に練った上、適切な対応をする必要があります。

当事務所では、従業員の解雇にあたって、詳細に事情を聴取した上、最も妥当なスケジュール・方策を組み、極力労使トラブルに至らないやり方でのお話の進め方を弁護士がご提案いたします。また、既に解雇をしてしまい、元従業員からの内容証明が届いてしまった、労働審判を起こされてしまった、訴訟を起こされてしまったという場合にも、弁護士が適切な解決に導けるようにアドバイスや対応をします。特に従業員との間で解雇に関して何らかのトラブルが発生してしまった場合には、会社の損害を極力回避するために初動対応が重要ですので、できるだけ早く弁護士にご相談下さい。

ご相談はこちら

関連セミナー