法人向け法律サービス運送会社

はじめに

 

運送業界は、我が国を支える物流の中でも最も重要な役割を負っています。

しかしながら、インターネットショッピングの爆発的増加を背景に物流サービスの需要は増加する一方で、それに対応し切ることができず慢性的な人手不足に悩む状況にあります。

また、現在業界は参入過多により競争が非常に激しい状況にあり、需要が拡大してもそれが直ちに売上に直結しない、ひいては労働者の待遇に直ちに反映させづらい厳しい状況にあります。

このように人手不足に悩む中ではあるものの、物流には現在のところ人の手に頼らざるを得ない部分が多くあり、労働者の労働に頼らざるを得ません。さらに、運送業界は中高年層の特に男性を中心に構成されていますが、高齢化が進んでおり、将来の若い人材の確保が課題となっており、今後人手不足がますます進むとみられます。

このような構造の中で、労働者の労働時間は長時間におよびがちであり、また不規則になる傾向があります。このような状況から、運送業界は類型的に労働者との間での問題を抱えやすい業界であると言えます。また、過当競争の影響もあり、不利な取引条件も押し付けられがちです。

このような特色を持つ運送業を運営するにあたっては、特に次のような点に気を配る必要があります。

 

運送業において頻発する問題

 

労務管理の問題

 

従業員との問題を抱えやすい業種において、特に重要なのが労務管理です。従業員との契約関係、就業規則、セクハラやパワハラへの対応、メンタルヘルスの問題を抱えた従業員への対応、労災、労働時間管理等々、日頃の労務管理は、従業員との法的紛争を予防するためには欠かせない事柄です。

ところが、労務管理に関しては、あくまで予防であり緊急性が乏しいようにも見えてしまうことから、日頃の通常業務より重要性が劣るとみられがちであること、コストをかけにくいこと、日頃お付き合いのある社会保険労務士などへの相談でも足りるように見え、後回しにされがちです。

しかし、労務管理を怠ると、従業員のモチベーションの低下をもたらすにとどまらず、従業員からの訴訟提起等、場合によっては複数の従業員を巻き込んでの大きなリスクを負うことになってしまいます。いったんことが大事になると自体を収拾させるのは容易ではなく、さらに、インターネットが発達した現代においてはブラック企業の情報が出回りやすくレピュテーションリスクも負うことになります。

このような事態を避けるためには、後に紛争に至る可能性も見据えた上で、入念な準備と管理が必要です。これら労務管理にあたっては、紛争の危険性と実態について熟知した弁護士にご相談されるのがもっともよいものといえます。

 

従業員からの残業代請求について

 

不幸にして従業員との紛争が現実化してしまうケースで、もっとも多いといえるのが、従業員からの残業代請求です。労働時間が長時間化しがちで深夜労働も多いトラックドライバーでは頻発する問題といえます。

残業代請求に関しては、対象従業員の数が多くなり請求額が多額に上ることもある上、ダラダラしているだけで仕事の中身がともなっていなかった、基本給に含めて支払うことに合意していた、従業員は管理職だった等々会社としての言い分が多くあるケースがよく見られます。

これら主張については、その内容によっては会社側の言い分が認められることもある反面、関連法規や裁判例によれば、その主張が認められるためには、厳しい要件を要する場合も多く、いかにその主張を構成しどのような証拠を収集するかについて、専門家による助力を得るのが適切であると言えます。

 

問題社員への対応

 

問題社員への対応は古くから企業が頭を悩ませる問題ですが、近年においてはパワハラやセクハラなどハラスメントの問題が生じやすいこと、SNSを利用した情報の拡散、新型うつ病への対応など、従来にもまして問題が多いと言えます。

慢性的な人手不足にある現状においては、既存の人材をいかに活かすかというのは重要な視点です。このような観点からは、社員教育や指導、人員配置の見直し、異動、場合によっては懲戒処分などを通じて、労働契約関係を継続したまま問題を解決していくことが社員と使用者双方にとってもっとも良いと言えます。ただ、どうしても問題が解決しない場合、解雇を考えなければならないかもしれません。

しかしながら、懲戒権や解雇権などを行使するにあたっては労働基準法を始めとする労働関連法規に則った手続きにより、その要件を満たすかを慎重に検討しなければなりません。場合によっては、将来の解雇を見据えて、資料を作成し証拠を収集しておく必要もあります。特に安易な解雇は後に従業員から訴訟を提起される危険性が高く、慎重な対応が必須と言えます。

 

契約書のチェック

 

運送業界では、取引内容を契約書にせず口頭だけのやり取りで済ませてしまうことがよくあります。しかしながら、このようなやり方ではそもそも当事者間で認識の齟齬が生じやすく、揉め事の種になりがちです。過当競争にある運送業界ではこのような事態に陥った場合でも、運送業者側の立場が弱く泣き寝入りせざるを得ない場合も多くあります。

さらに、いざ当事者間でどうにも話が収まらないということになった場合にも契約書が作成されていないと、合意の内容を裁判所で証明することができなくなってしまいます。

このような事態を回避するためには、契約にあたって契約書を締結しておく必要があります。ただ、契約書を作成するにあたっても、契約の相手方の雛形によった場合や、他の取引における契約書を流用した場合、思わぬ不利益を被るおそれがあります。
このため、契約書を作成するには専門家である弁護士によるリーガルチェックを受けることが必要です。

 

当事務所にご依頼いただくと

 

上記の問題は一例ですが、運送業界は法務リスクを抱えやすい業界であるといえます。当事務所にご依頼いただきますと、上記のような問題に専門的見地から適切なアドバイスをさせていただくことができ効果的な予防、対応をとることができます。